組織開発・人材開発の(株)HRT
お問い合わせ
ホーム サービス ホールシステムアプローチ メンバー紹介 事例紹介 会社概要
事例紹介

 

事例紹介

総合計画立案支援 宮代町役場の取り組み

町民の参加によるワールド・カフェの話し合いで総合計画立案に貢献する

背景:ワールド・カフェ開催に至る経緯

宮代町では、市民が町の審議会などに参加することによる市民参加のまちづくりを、進めてきました。このため、平成16年度以降、どの審議会においても、専門家だけでなく、公募による市民も委員として参加してきました。しかし何年かするうちに、公募による参加者の固定化傾向が進み、女性や若年層が参加しにくい、市民参加といいながら、逆に全く間口の狭いものになっている、と指摘されることが多くなってきました。そこで、宮代町では、市民参加をうまく進めるための別の方法を探していました。

宮代町役場では、新しい10年間の総合計画を作る上で役場の中で町長と幹部職員からなる経営戦略会議においてSWOT分析を用いて宮代町の現状(強み、弱み、機会、脅威)について話し合い、新しい総合計画の策定方針づくりを進めていました。

市民はどう感じているかを具体的に聞く段階になり、まず、住民の意識調査を行いました。次に宮代町の市民のできるだけ偏りのない意見を直接聞くにはどうしたらいいかを検討し始めました。応募のあった市民だけで構成する市民会議という案もありましたが、過去の経験から、この方法では幅広い市民から意見やアイデアを集め、それを広げて行くのは難しいと感じていました。こうした市民会議では、だれの意見が正しいかという二元論に支配されがちだからです。

こうしたこともあり、改革推進室の栗原さんは市民ワークショップの手法について検討していました。

そんな時に、宮代町役場の職員10人で大川恒が主宰したワールド・カフェ(@東京の銀座)で体験し、“あ。これだ!” と栗原さんは思いました。「無理やり結論を出さない」「相手の意見を尊重する」「アイデアを否定しない」「短時間にたくさんの人と話し合う」「一度に何人でも参加できる」というワールド・カフェはまさに最適でした。市民が集まって、町の将来計画について話し合うためにワールド・カフェを開催することになりました。

 

ワールド・カフェの開催準備:ワールド・カフェ・ファシリテーター養成講座

宮代役場の職員のワールド・カフェの企画運営メンバーの方々は大川恒が講師を務めたワールド・カフェのファシリテーター養成ワークショップを受講し、ワールド・カフェの基本的な知識、事前準備などの知識を身につけました。さらに、カフェ・ホスト(ワールド・カフェのファシリテーター)として当日のワールド・カフェの進行の知識と企画立案について、宮代町の市民が参加するワールド・カフェの目的と問いが実際に対話をしながら検討する中で身につけました。講座の中で実際のワールド・カフェの目的と問いのたたき台ができあがり、開催に向けて自信と意欲が生まれてきました。

ワールド・カフェの参加者を最初は公募か関係団体を集めて行うことで考えていましたが、少数例ながら無作為抽出による市民参加事例が他の自治体で行われていることも知っていました。ワールド・カフェ・ファシリテーター養成講座”を受講していた時、講師(大川)からマイクロコズム(すべての利害関係者を集めた結果できるグループ。全体の縮図になっている)のついての説明を受けました。そこで、ワールド・カフェの参加者を無作為抽出をすることで、どうにかしてワールド・カフェの参加者が市民の縮図になるように工夫しました。その結果として、男女比、年齢、居住地とも宮代町の人口比率にかなり近い参加者を集めることができました。

参加者には2日間のワールド・カフェの結果が、第4次総合計画を策定する、大学教授などの専門家からなる「総合計画審議会」の基礎資料になり、頂いた意見は広報紙、町のホームページでも広く公表、旨を事前にお知らせしました。ワールド・カフェに集まって話し合った結果が、どう活用されていくかを事前にお知らせすることは、参加者意欲に多いに影響すると考えたからです。

 

4回にわたるワールド・カフェの開催

実際には、以下の宮代町役場にかかわるワールド・カフェが4回開催されました。 それぞれの開催目的、プロセス、効果・効果などにつきましては
拙著 『俊敏な組織をつくる10のステップ』(ビジネス社 2012年9月)をご覧ください。

1)総合計画フォーラム 無作為抽出住民による「ワールド・カフェ」10年後の宮代町へ ~みんなでこんな町を創りたい~]2011年2月26日

2)職員によるワールド・カフェ]2010年12月17日

3)総合計画フォーラム 無作為抽出住民による「ワールド・カフェ」10年後の宮代町へ ~みんなでこんな町を創りたい~]2011年2月26日

4)今後の公共施設 無作為抽出住民による「ワールド・カフェ」あったらいいなこんな場所~地域をつなぐ中心施設~2011年10月22日

 

全4回のワールド・カフェ開催によってもたらされた変化、気づき

・ワールド・カフェの参加者とそこから出たアイディアを選択する総合計画の専門家、行政や議会の役割の認識が、極めて重要。

・ワールド・カフェで述べた意見がどうなるかは明確に伝えておき、それを承認して参加している。専門家が情報を見極め選択する。そして最終成果をきちんとフィードバックをすることが重要

・ワールド・カフェに関わった人の生き方が変わる。発言したことが実際の活動になっていくことが素晴らしい

・ワールド・カフェが終わった後、会場から出て行く参加者の満足げな、充足感に満ちた顔つきを見ていれば、参加者がいかに楽しく話し合いをしたかを測ることができる。また、会場内のあちこちで、別れを惜しむように、いくつかのグループができている。良い映画を見た後の映画観のロビーのようになっている。宮代町の場合、終了後、すぐに解散するのでなく、高まってきた意欲を次につなげるようなイベントの案内(市民活動スペースで行われる予定の取り組み)をお知らせしました。ワールド・カフェ開催後の次のステップを主催者として用意しておくことが大事だと思います。

・ワールド・カフェで話し合い、出てきた意見やアイデアが、即実現されるというわけではなく、その後、どう扱われ、決定のプロセスを踏むのかを提示しないと、参加意欲も減退してしまうので、そのことに注意を払いました。参加者への案内状にそのことを分かりやすく記述するとともに、ワールド・カフェで出された意見は町公式ホームページや町広報紙で必ず紹介し、そして、その意見がどう扱われ、具体的な政策になって行くのかをお知らせしています。

・テーブルを囲む話し合いのメンバーが、年齢、性別ともに多様であればあるほど、それに応じた視点があり、多彩な意見が出されると感じました。自分の意見を一方的に言うだけでなく、他人の意見に触発されたり、意気投合したり、その中で、第三の意見が生み出されたり、という化学反応が楽しくもあり、また、自分が出した意見にまったく違う年齢、性別の方が賛同してくれると、その後の意見の広がりも違うようです。

・話し合いの前提条件の理解がマチマチだったり(場合によっては、まったく違った理解をしていたり)、しては、話し合いがスムースに進まないので、ワールド・カフェを実施する前に、テレビのニュース解説風な、わかりやすい、スライド説明を行なうことで、集まった参加者に「この話し合いで、求めている意見、アイデア」を明確にすることができた。これはよい結果をもたらしました。

 

ページトップへ
株式会社HRTは組織開発・人材開発を通して、話し合って、共に未来へ歩む組織をつくるサポートをいたします。

ホームサービスホールシステムアプローチメンバー紹介事例紹介会社概要

Copyright (C) 2014 HRT,Inc. All Rights Reserved.